政治の閉塞 平成の龍馬はいないのか (産経新聞)

 週末のひとときを都心の一流ホテルでくつろごうとされた方々は、さぞ迷惑だったろう。民主党の小沢一郎幹事長は、東京地検特捜部の任意聴取をホテルニューオータニの一室で受けた。

 小沢氏を警護するため数えきれぬ警察官がフロアやホテルの周辺を巡回し、何カ所もある出入り口には何百人もの記者やカメラマンが駆けつけた。関係者の一人として申し訳なく思うが、小沢氏がいつ、どこから出入りするか、検察側も小沢氏側も「リーク」してくれるわけではないので多数の報道陣が殺到したのだ。「検察のリークはけしからん」と騒いでいる大臣や議員のみなさんにはぜひとも視察していただきたかった。

 さて、予想通り小沢氏は、疑惑を全面的に否認した。黙秘権を行使しなかったのは立派だが、疑惑が晴れたわけではない。数ある疑惑のうち、象徴的な例を一つあげると、3年前の記者会見で、土地購入の原資を「政治献金」と説明していたことだ。検察に説明したように、なぜ当時、記者会見で「自分の資産を貸し付けた」と言えなかったのか。メディアにはウソをついても、検察には本当のことを話すのだろうか。政治資金に関して透明性を信条としていた小沢氏が結果として虚言をろうしたのは事実である。

 記者会見で「職責を果たしていきたい」と幹事長続投を明言したのも彼の論理からいえば、当然である。「潔白」である以上、責任をとる必要はないからだ。第一、秘書が3人(元秘書を含む)逮捕され、本人が事情聴取された程度で、「道義的責任をとって」辞任するのは小沢氏らしくない。

 問題は、民主党である。小沢氏は続投を宣言し、ボールは党に投げられた。

 疑惑を全面的に否定し、続投を表明した小沢氏の言い分を了とし、一丸となって彼を支えて通常国会を乗り切り、参院選に突入するのか。あるいは、疑惑が晴らされていないことを理由に幹事長を辞めてもらうのか。いずれの道をとるのも民主党の自由である。

 しかし、なぜか大多数の民主党議員は、この問題について口をつぐんだままである。

 民主党大会が開かれた翌日付で、私は「民主党議員は腰抜けか」と失礼な記事を書いた。党の一大事に小沢批判派も擁護派も口を閉ざしていたからだ。

 あれから1週間たっても事情はあまり変わっていない。輿石東(こしいし・あずま)幹事長職務代行ら執行部が、小沢氏を支え、戦う姿勢を明確にしたことから、検察やメディアを批判する大臣や議員は増えてはいる。

 中井洽(ひろし)国家公安委員長は「捜査当局から一方的にリークされる記事しか書かないマスコミ。そういう中では、冤罪(えんざい)被害はこれからも出る」と語った。全国の警察を管理する国家公安委員会のトップが、「捜査当局」にリークの疑いをかけているとは仰天である。しかも鳩山内閣は、昨年末に「捜査情報を外部に漏らすことはない」とする政府答弁書を閣議決定している。決定に異議があるのなら、大臣をお辞めになった方がいい。

 「私は腰抜けではない」と小紙に談話を寄せてくれた山本剛正氏らごく少数の批判派も声をあげだしたが、大多数の中堅・若手議員は、だんまりを続けている。

 ご存じの通り、首相の発言もあっちへ行ったり、こっちへ来たり。菅直人副総理は、首相の言葉の軽さを「宇宙人と称される総理だから、同じ言葉でも我々、地球人とニュアンスが違う」とかばったが、とても笑えない。

 物言わぬ大多数の議員と、軽すぎる発言を繰り返す首相。これでは、「政治とカネ」に翻弄(ほんろう)され続けてきた自民党政権時代より状況は悪い。この閉塞(へいそく)状況を打ち破る平成の龍馬はいないのか。(政治部長・乾正人)

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